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上半期の特殊詐欺被害1816億円 SNS投資詐欺は被害額の43.9%
概要:警察庁暫定値で2026年上半期の特殊詐欺被害は1,816.2億円。SNS型投資詐欺は797.9億円で被害額の43.9%を占め、統計区分変更にも注意が必要だ。

警察庁が2026年7月30日に公表した暫定値によると、2026年上半期の特殊詐欺は全国で2万2,031件、被害額は1,816.2億円に達した。前年同期と比べ、件数は3,408件(18.3%)、被害額は618.8億円(51.7%)増えた。
ただし、「過去最悪」という長期比較には注意が必要だ。警察庁は2026年から、従来は別枠だったSNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺を特殊詐欺の一手口に組み入れ、ニセ警察詐欺を独立した手口として整理した。今回の公式資料は前年同期比で「大きく増加」としているが、「過去最悪」とは記していない。統計の対象範囲が変わったため、過去の特殊詐欺だけの数値と単純に比べるべきではない。
「約4割」は件数ではなく被害額
SNS型投資詐欺は5,893件、被害額797.9億円だった。前年同期比では件数が3,020件(105.1%)、被害額が444.9億円(126.0%)増えている。
特殊詐欺全体に占める割合は、認知件数で26.7%、被害総額で43.9%だ。話題となった見出しの「約4割」は、件数ではなく被害額の構成比を指す。被害額を「約800億円」と丸めることは797.9億円という公式値に沿うが、割合の分母を明示しなければ誤解を招く。
被害の大きさは1件当たりの数字にも表れている。特殊詐欺全体の1日当たり被害額は10.0億円、既遂1件当たりでは840.0万円だった。SNS型投資詐欺の既遂1件当たり被害額は1,362.5万円で、全体平均を上回った。警察庁は、SNS型投資詐欺とニセ警察詐欺が既遂1件当たりの被害額を押し上げる主な要因だとしている。
50代・60代に被害が集中
SNS型投資詐欺の認知件数は50代が1,605件で最も多く、60代が1,518件で続いた。被害額では60代が274.9億円で最大となり、50代は199.3億円だった。50代と60代を合わせると、SNS型投資詐欺の認知件数の53.0%、被害額の59.5%を占める。
もっとも、これは他の年代が安全という意味ではない。40代は1,003件、96.0億円、70代は739件、132.4億円の被害が確認された。公式統計は、働き盛りから高齢層まで広く被害が及んでいることを示している。
広告や投稿からLINEへ
最初の接点は、バナーなどの広告が2,330件で全体の39.5%を占めた。ダイレクトメッセージは1,698件(28.8%)、SNS上の投稿は1,457件(24.7%)だった。前年同期に比べ、広告による接触は165.1%、投稿による接触は397.3%増えた。
最初に使われたツールではInstagramが1,403件で最も多く、X(旧Twitter)が677件、LINEが631件だった。一方、被害時の連絡手段はLINEが5,658件、全体の96.0%に上る。入口は複数の広告・SNSに分散していても、その後のやり取りがLINEへ集約される構図が鮮明だ。
警察庁が示す典型例では、広告やダイレクトメッセージから投資グループに誘導し、架空の利益を表示して信用させる。その後、出金のための手数料などを求め、最後は連絡を絶つ。こうした流れは、正規の金融取引とは別物である。
振込被害が3分の2超
被害金の交付形態では、預貯金口座などへの振込型が540.8億円で、SNS型投資詐欺の被害額の67.8%を占めた。暗号資産送信型は128.4億円(16.1%)、現金手交型は127.0億円(15.9%)だった。
振込型4,084件のうち、インターネットバンキングを使ったものは2,996件で73.4%。振込型の被害額540.8億円のうち、インターネットバンキング利用分は431.4億円で79.8%だった。被害がデジタル送金だけに限られるわけではない一方、オンラインで高額資金が動く実態が確認できる。
登録確認は公式サイトから
金融庁は、SNSで投資勧誘を受けた場合、相手方が金融商品取引業や暗号資産交換業の登録を受けているか、同庁の金融事業者検索で確認するよう呼びかけている。著名人や実在する金融機関をかたる例もあるため、広告内のリンクや相手が送ってきた連絡先ではなく、金融庁や事業者の公式サイトから確認することが重要だ。
「必ずもうかる」「元本保証」といった断定的な勧誘、SNSの投資グループへの誘導、正体の確認できない相手への送金要求には慎重な対応が必要になる。不審な勧誘を受けた場合、金融庁は入金せず、同庁の相談・情報提供窓口や最寄りの警察署に相談するよう案内している。
今回の数字が示す核心は、単に被害件数が増えたことではない。SNS型投資詐欺が特殊詐欺全体の被害額の43.9%を占め、1件当たりの損失も大きい点にある。同時に、2026年から統計上の「特殊詐欺」の範囲が変わったことも見落とせない。被害の深刻さと統計の比較条件を分けて読む必要がある。
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